先人たちが語ったジャイナ


アルバート・シュヴァイツァー

殺すなかれ、傷つけるなかれという戒めを定めたことは、人類の精神史上もっとも偉大な出来事のひとつである。古代インド思想は、世を捨て人生を捨てるという、行為否定の原理から出発し、ついに倫理の無限性というおどろくべき発見をしたのだ(まだ倫理のもつさまざまな側面が開拓されていない時代にである)。われわれの知るかぎり、これを最初にはっきりと示したのはジャイナ教である。


マハトマ・ガンディー

マハーヴィーラという名前をいま我々が賞賛してやまないのは、彼の教えがアヒンサーの教えそのものだったからです。不殺生の哲理を誰よりも徹底して実践し、そして誰よりも広く伝えた者がいたとすれば、それは彼をおいて他にはおりません。


南方熊楠

「すなわち、思考、言語、行為を善にして、語ることなき動物のみか、植物にまでも信切にするなり。この動植物を憐れむことは、仏教もまたこれをいうといえども、ジャイナ教は一層これを弘めたり。すなわち動植物みな霊魂ありとみて、病獸のために医療を立つるを慈善業とす。階級の差を持って得道を妨ぐることなく、誰人にても涅槃に入り得ると主張す」


栗本慎一郎

日本人は、ジャイナ教の存在などにほとんど触れたことはあるまい。「主体的」な宗教は、近代社会では力を持たないからである。ようするに、近代社会には、大衆化し、受動的と化した宗教のみが適する。なぜなら、近代社会は個々人の自立をうたうが、実際にはその個々人が明確には自立していないことが成立の前提になるのであった。


ジッドゥ・クリシュナムルティ

インドには、移動はすべて歩行に頼るという一宗派があります。かれらは列車も飛行機もその他の乗り物も使わず、そして呼吸によって昆虫を殺さないよう、マスクを着用しているのです。そのグループの何人かが合いに来たことがあるのですが、その人たちははるばる800マイルも歩いてきたということでした。


松岡正剛

 私はまずマハーヴィラにはじまったジャイナ教の方法を評価する。ジャイナ教では「世界」(ローガ)は場所なのだ。その場所をダルマ・アダルマ・ポッガラ・ジヴァの五つの作用力が編集すると考えた。とくにアガーサが注目すべき編集方法で、これは「席をゆずる方法」ともいうべきものだった。


ジョージ・バーナード・ショー

もし生まれ変わることができるなら、私はジャイナ社会に生を受けたい。それくらい私はジャイナ教の哲理を深く崇拝してやまないのである。


ジャワハルラル・ネルー

ところでインドに関するガンディーの見解は、彼の若かった頃グジャラートで身につけた見解にある程度色つけられていた。グジャラート族は、元来、平和な貿易商や商人の集団で、ジャイナ教の非暴力の教義に感化されていた。