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絶食10日目の朝

海の見える処置室

今日で入院20日目です。そして絶食10日目。体重もついに40kg割ってしまい、会う人みなに「やせたねー」といわれる。腕が棒切れみたい。アウシュビッツのユダヤ人みたいになってきた。

お見舞いの方も毎日訪問してくださるのだが、こっちはもう正気を保つので精一杯で、相手の話に調子を合わせるような余裕はない。せいぜい枕元でTwitter発散するくらい。

ところでなぜ絶食しているの?というと、ゲリと嘔吐が止まらなかったから。原因としては、まずESBL大腸菌という多剤耐性型の菌が便から検出されたというのだけれど、院内感染したか、それとも自分で持ち込んだかはよくわからない。他人に感染させては事だということで、塩素入りの殺菌ガーゼと透明手袋を一式手渡され、大をいたした後に念入りに便器を拭くという作業をしている。

移植によって生じる拒絶反応をよくGVHD、略してGVといいますが、ぼくの場合は慢性GVHDといって、移植後3年経ってもまだ反応が根強く残っているというかなりしぶといコースです。感染をきっかけに、こいつが毎度毎度しゃしゃりでてくるわけで、今回の入院も感染で熱が上がったのをきっかけに、急性GVHD級の激しいやつに寝込みを襲われてしまった。

どうやら口腔内、皮膚、消化器官をぜんぶもっていかれたようだ。ゲリというよりはほとんど水がでている。おそらく腸の粘膜がGVでダメになったんだろう。さいわい肺の古傷のほうはCTスキャンして問題なし。


移植後三年もたってこの拒絶反応ぶりである。患者仲間たちはさすがに3年も経つとリッパに社会復帰をはたし、毎日イソイソと働いている。ぼくもそうありたしと願い、山積した長年の夢も今年からちゃんとやると覚悟もし、そのための友達づくり、実績づくりということに昨年暮れあたりから取りかかり、津軽にもずいぶん友達の輪が広がった。とくに今年に入ってからの充実ぶりはこれだけ強欲なニンゲンをもいたく満足させるほどで、縁と縁がとりもつ幸運というものを日々感じて生きていた。

しかし、どうもぼくは他の患者仲間みたいにはいかないようだということを今回思い知らされた。まったくの別組だ。いや、わかってはいたのだが、認めるのが悔しかった。

今後もこの相棒とつきあっていかざるを得ないし、免疫抑制剤で反応を抑えながら生活するしかない以上、易感染症はさけられず、飲み会やコンサートなど人の多く集まる場所に出向くのはかなりリスキーだ。いろいろ誘われても、不義理せざるをえぬということになってしまう。

介護タクシーの利用も今月いっぱいでお断りすると伝えていたのだが、ケアマネさんに電話して継続を懇願した。弘前から青森までバスや電車などを使うとどうしても風邪とか感染しやすい。これまでどおり自宅からタクシー通院できれば

医者の許しを得て、売店から買ってきたお粥を試しに半分食べてみた。ゲリがさらに頻回になるんじゃという心配をよそに昨晩は朝までよおく眠った。一度もトイレに起きなかった。抗生剤の点滴と、ステロイド増量がそろそろ奏功してきたのかもしれない。

まさか自分がジャイナ僧ばりの断食を強いられる羽目になるとは思いもよらなかった。桜祭りも終わった。

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