「現代のあらゆる問題を解決する技術はすでに出揃っている」とムハマド・ユヌスさんが「未来への提言」で話していた。ではなぜいまだ世界の貧困が未解決のままなのかといえば、それらの技術がすべてビジネス、つまり利潤追求のために集中しているからだという。
企業や国家が開発した先端技術のほんのちょっとを社会に還元するだけで、あらゆる社会問題を解決できるだけでなく、ビジネスとしてもじゅうぶん成立するという。つまり儲かるということである。それがソーシャル・ビジネスのもつ可能性だという。
世界で約40億(BOP)といわれる貧困層を、まだ未開拓のマーケットとして見すえるという新しい潮流を作り出したこともすごいが、実際に成果もあげているユヌスさんという存在そのものに圧倒される。
ユヌスさんだけでなく、ガンディーにしろ、マザー・テレサにしろ、どこまでも理想をまげない、いい意味での頑固さというところにいつもひかれる。彼らは決して物わかりの良いニンゲンではない。むしろ現実のほうを変えようとする。ユヌスさんのばあい、それがとてもスマートで、政府にも寄付にもたよらず実現しているところが素敵だとおもう
ユヌスさんと日本との最近の関わりでいうと、貧困層むけの少額融資(マイクロ・クレジット)をIT技術で支援しようという九大の試みがある。これまで使われていた手書きの帳簿をすべて電子手帳(太陽電池)に置き換え、グラミン銀行のデータベースへダイレクトに記帳できるようにすることで、融資がより迅速に、しかもトラブルなくできるという。
これはユヌスさんという触媒をつうじて貧困層に先端技術が流れこんだほんの一例であるが、ぼくたちがコンビニでふつうに利用しているPOSシステムのような技術を、ほんのちょっと差し出せば、こんなに人をハッピーにできるというサンプルにもなっているようにおもう
たしかジェフリー・サックスさんも「先進国がGDPの0.7パーセントを拠出するだけで世界から貧困をなくせる」と語っていたようにおもう(『貧困の終焉--2025年までに世界を変える 』)。ここでもまたポイントになるのは、世界規模の変革でさえたったコンマ数パーセントの改善で実現できるということであろう。
これは自分一人を変えたいと思ったときにもあてはまるようにおもう。勝間和代さんが「一日0.2%の改善は、一年で倍になる」と複利計算をしているときに気がついたと朝日新聞(2009.08.08)に書いている
「今日できることを100とし、一日0.2%ずつそれを改善すると、明日は今日に比べて100.2%できることになります。さらに毎日0.2%ずつ改善すると、10日後には101.8と少しできるようになります。
このような努力を365日続けていくと、なんと、この数字は、初日に比べたら207.3にもなるのです」
個人のかかえる問題でも、自殺や貧困といった社会問題でも、一人一人のニンゲンが、たった0.2%の時間をそのために拠出することで、やがてそれは何倍にもなって世界全体に大きな福利をもたらすのではないかと主張するならば、世の政治家たちは嘲笑をもって返すであろうか
「旅をするたびに、自分の眼に飛び込んでくるのは非常な貧困ですよ。日本というのはこれだけ不況でも、みんながそれなりの服を着て、美味しいものを食べて生活が出来ていますけども、世界の半数以上の人は、今日の食事にも困っておりますよね。そういう人たちに何らかの形で具体的に援助の手を差し伸べられるよう な、そういう仕事をいつかはやってみたいと思っているけれども... 」(町田宗鳳さんインタビュー)
じゃあ自分にはいったい何ができるのか、世界から何を問われているかということを、iPhoneでユヌスさんの声を聴きながら思い悩む
それはなにか「病」につながることであろうとおもう





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