彼は、人形の耳につけたマイクを通してだけ、部屋の中の音を聞くことができる。このマイクは、彼の両耳のイヤホーンにつながっている。ある音の遠近感を彼が判断できるのは、人形を回転させることができる場合だけであって、人形をテーブルの上に固定すると、その2つの動かぬ耳を通して中継される音の遠近感は、ほとんどなくなってしまう。「ライフ/人間と科学シリーズ 心のはたらき 1973」
プリンストン大学のPh.D、シュナイダー氏(写真)が行ったこの壮大な実験は、音響学の世界に大きな衝撃をもらたした。しかしながら予想外の反響に彼はすっかり困り果ててしまったのである。
なぜなら、彼の本当の研究テーマは「いかにして上司に察知されずに勤務時間中ずっとクラフトワークを聴けるか」であったからだ。この目的のために8年の歳月を費やしてきた彼にとって、有名になることは研究生活の至福をおびやかす厄災以外の何ものでもないのである。





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