田中 私はね、人の死に方とか扱われ方が「こんなんでいいのか?」とほんとうに思ったものね。地獄だよ、あれは。生き地獄を自分たちがつくっている。...
精神科の患者さんで、慢性の肺炎でお風呂にも入れないまま亡くなった人がいました。その患者さんの家族が来て、「お母さん!」といって抱きしめたんですね、ご遺体を。実際、くさいんですよ。
看護婦はお風呂にも入れてないし、シャワーを浴びさせてないし、拭いてもいないから。そうしたらある看護婦が「よくこんなにくさいのに抱きつけるわね」って。私は、ほんとうにショックでした。
親子の情というのは、そんなものをこえているでしょう。それに「くさい」状況だって、看護婦自身が作りだしたものなんですから。
患者さんが看護者をみて気をつかっているようではしょうがないでしょう。多少痴呆が軽いからといって遠慮させるような、ああいうことは私は絶対に許せない。
田中とも江:上川病院総婦長
宮下多美子:聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院救命センター婦長
1999年6月に行われた二人の対談より
「抑制クロストーク」
吉岡充 田中とも江 編著『縛らない看護 』 P244 医学書院





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