「お年寄りを縛ったら、犯罪ですよ!」
田中とも江(59)の声がひときわ大きくなった。07年10月、福島県の高齢者施設職員研修会。その講師に招かれたのがベテラン看護師の田中である。
医療用語で「抑制」「拘束」という。「転ぶと危ない」「点滴を抜くから」。そんな理由で認知症の人たちを車いすやベッドに縛りつける。それが当たり前と思われていた時代が長かった。
田中は「縛らないで」と訴え、全国を行脚している。「たくさんの患者さんを見殺しにしてきましたから。私は卑怯者なんです」
...認知症のお年寄りがいちばん気の毒だった。床ずれだらけ、おむつのにおい。無くなったときの無念の表情。同僚は「ウンコさらい」と自分たちの仕事をさげすみ、うっぷんを患者に向ける。いうことを聞かないと殴ったり。柱に縛りつけたりした。
これは何? 上司に訴えても無視された。したっぱの自分にはなにも変えられない。誇りのもてる看護がしたい。子育てをしながら看護師の資格をとる。(続く)
朝日新聞 朝刊 2008.3.18





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