じつは『モモ』の書評などでほめられても、ひどく外面的表面的な理解しか示されていないと思うことはあるのです。
みなさんがぼめるには、私が『モモ』を書いたのは、現代社会でだれもが忙しくて『時間』のもてない存在になったことに注意を喚起させるためだった。あるいは、人びとのストレス状態、世の中のあわただしさを警告するためだった、というのです。
けれども、いや、いや、ちょっと違います、とは言いたい。私としてはもう少し先のところまで言っているつもりなのです。(子安美知子著『エンデと語る 』朝日新聞社)(P44-45)
1986年、エンデの『モモ』を読んだドイツの経済学者ヴェルナー・オンケンは、それには、〈時間とともに価値が減る〉というシルビオ・ゲゼルの自由貨幣の理論と、ルドルフ・シュタイナーが提唱した〈老化するお金〉というアイデアが描き込まれていると感じ...エンデ本人に手紙を書き、自分の考えが正しいかどうか確かめたのです。
「親愛なるオンケン氏へ!私の本をこれほど理解してくださり、とくに神秘主義と経済的な背景について理解してくださり、嬉しく思います。ところで、老化するお金という概念が私の本『モモ』の背景にあることに気づいたのはあなたが最初でした。
まさにこのシュタイナーとゲゼルの考えをここ数年、私は集中的に学んでいました。同時に、お金の問題が解決されなければ、われわれの文化に関するすべての問題は解決されないだろう、ということに気づいたのです」(P45-46)
『エンデの遺言 根源からお金を問うこと 』 NHK出版





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