ユン:みんなオレのことオカルトだって思ってるでしょ。神秘主義だの無神論だの物質主義だの、メディアにさんざん叩かれてもうグチャグチャなわけ。
ナラ:腹立ったりしなかった? あんなに書かれちゃって。
ユン:もちろん最初はムカついたけどさー、そこが内向型人間の強さっていうか、オレはアイツらにぜんぜん文句いったりしなかったわけ。あそこでもしオレがズーンと落ちこんじゃってたらさ、いまのオレはないわけよ。ただのオカルトじいさんで終わってたわけ。
ナラ:でもユンくんは若いころから内向的っていうか、不器用だったよね。フロイトさんに不義理しちゃったせいで学会にも居られなくなって。そんときのほうがキツかったんじゃないの? いま思うとよく乗り切ったよねー。
ユン:そうそう。そういうハードなときってオレはね、これ、オレだけかもしんないけど、湖のそばで絵書いたり、庭に石積んだりがすごいイイんだよね。小さいころからそういうの大好きなの。あと、女の子にいっぱい夢のこと聞いてもらったりもよかったよな。あれはいいよ。癒しだよ。
ナラ:四十路近くのオッチャンが毎日庭で石積みかー。今風にいえばまさに「箱庭療法」だよね。
ユン:そうそう、やっぱ小さいころ好きだったものって、自分の原点っていうか、変わらないじゃん。
ナラ:たしかにクラフトワークとかいまだに好きだもんなー。じゃあそれですっかり持ち直したんだ。
ユン:いやそれがさ、それだけじゃダメだったんだよね。学会辞めてブラブラしてばかりいたら、なんだか自分が宙ぶらりんな感じがしちゃって、夜中に怖い夢いっぱい見るようになっちゃって。
ナラ:あー、それで夢のこといっぱい本に書いたんだ。どんな夢だったかいまでも覚えてる?
ユン:真っ暗な洞窟のなかに水死体がプカプカ浮いてたりとか、湧き水かと思ったら、血だったとか、火葬されてもまだ生きてるヒトとか、何がなんだかぜんぜんわかんなくて。もうオレそろそろヤバイのかなって。オレ分裂病なんじゃないかって。(続く)





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