「アリス・イン・ワンダーランド (Take 2)」ビル・エヴァンス
from the album "Sunday At The Village Vanguard"
大谷:これはまたアンビエンスの音がすごく...お金の音とか聞こえるという...
坂本:ああ、チリンっていう、チップあげたりして(笑)。ほんとだ。映画みたいだよね。映画だよね。
山下:この録音のあとにラファロ死んじゃうんだっけ?
大谷:そうです。このすぐ後ですね。
坂本:このロマンティシズムっていうか、甘さはビル・エヴァンス固有のものですか? それともジャズがもっている何かですか?
山下:ある一面をエヴァンスが拡大してみせたっていうことですね。この人いっさい左手でそのコードのルート弾くことをやめちゃった。これはとんでもないことであって。
坂本:けっこう革命的な...
山下:革命的ですよ。ピアノのレンジのこっからこっちはほとんど弾いてない。ここだけで弾いてる。
坂本:それによってハーモニーの豊かさっていうのは...でてくるわけですね。
山下:ひとつ余計に音が入るという、単純にいえば。
坂本:もっとテンション弾けっていう...
山下:そういうことです。完全にエヴァンス・スタイルですね。メロディーラインの作り方も、コード進行も。でもスコット・ラファロ(Bass)というのがいたからなんだよね。実に見事に...
大谷:このあたりが日本に輸入盤ではいってきたとき、みんなで聴いて勉強してビックリしたみたいな...
山下:ビックリしましたね。誰もマネできなかったんじゃなかったかな。すぐにマネした人って思い浮かばない。ただルートはベースにまかせて、あとはこう弾くんだって。Cのコードをソシドミと押すとか、そんなのはたいへんな目からウロコです。あるいはシソミドとかね。それからDmをミファラと弾いてるんだよ。下でベースがドゥーンと。
坂本:ベースの自由度が格段に増しましたよね。ピアノのほうもそうですけど。ベースの自由度がね。
山下:いちど誰かと、こういうふうにしてるらしいよって、ベースでC押してみて、って言ってソシドミをゴーンてやったら、あっ、この音だ!とかって。感激して(笑)。エヴァンスのピアノでぼくはポスト・ビバップが確立されたと思います。2階建和音とか、上のトライアドが出てくるとか、ぜんぶエヴァンスが開発しちゃいましたね。





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