バッハはパーカーに似てる
坂本:こういうメロディーの作りかたって、クラシックには全然ないじゃない。おもしろいね。
山下:ないですかねやはり。バッハに似てるような気がするんですよ。
坂本:ああ、なるほどね。
山下:とくにあのセブンス・コードの三度から、♭9(フラットナインス)に飛んで降りてくるトゥラリラリラリラってやつ。あれはモダンジャズの、もう初歩の初歩の手法なんだけど。それこそ、C、A7、Bmで、A7のときに、ミレドミソシラソファ〜♪と、そんなフレーズをやると、あ、コイツ、モダンジャズできるな、と。ひとつの最初の初歩的な証明になるんだけれども。あんなのはバッハに似てると思いますね。
坂本:なるほど。
山下:ただバッハを研究したからパーカーがそれを吹いたのか、わからない。ぼくはパーカーのほうを先に知ってたから、「2声のインヴェンション」のCmでいきなり出てきたときに、なぜバッハがパーカーに似てるんだ? って逆に...
「Bach: 2-Part Invention #2 In C Minor, BWV 773」
坂本:ぼくもいま「インヴェンション」を言おうとしたんだけれど、似てますね。パーカーがバッハを聴いていた可能性はありますか?
大谷:確実に聴いてはいたと思いますね(坂本:聴いていた!)。けれども、もともと南部のブルース出身の人間なので、あとからでしょうね完全に。聴いたとしても。
山下:パーカーは、最初はヘタで、ジャムセッションのときに後ろからシンバル投げられたらしいよね。
大谷:さきほどのカウント・ベイシー楽団のジョー・ジョーンズに投げられた(笑)。ジャムセッションに出てきて途中でもうグジャグジャになっちゃって、おまえダメ!って。
山下:ああいうフレーズを、勉強して編みだすんだよね。あれがいきなりできたわけじゃないよね。
大谷:三ヶ月、山に籠もって戻ってきたらできるようになっていたという(笑)。
坂本:それと、夜も寝ないで、ジャムセッション終わったら、毎朝アパートに帰ってきてまた寝ないで練習したっていう話があるよね。
山下:でも手本にした人はいるんだよね。
大谷:レスター・ヤングですね。それもさきほどのカウント・ベイシー楽団の。
坂本:レスター・ヤングのフレーズを2倍速く吹いたっていう話だよね。
大谷:75%上げるときれいにアルトの音域になるんですよ。B♭からE♭まで。するとすごい似てる...
山下:じゃあそういう節のつくりかたはレスター・ヤングが示唆しているんだ。
坂本:あのね、ほんとうによく聴いて、よく覚えて、書いてそれをメチャクチャ速く吹けるように練習したっていうのは聞きましたね。





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