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「ジャズとは何か」抜き書き08


「コンファメーション」(チャーリー・パーカー)

坂本:ここからの飛躍もまあすごいでしょうけれども、ここへの飛躍もすごいじゃないですか。カウント・ベイシーからチャーリー・パーカーへの。チャーリー・パーカーだけじゃなく、その全体がものすごく自由度が増している気がするんですけど、ドラムにしてもね。何でこういうことになっちゃったんですか。

山下:やっぱりハーモニーの、あるハーモニーに対するメロディー・ライン、アドリブのメロディー・ラインをすごく豊富にしちゃったってことですよね。スイング・ジャズのメロディーの作りかたにくらべて。

坂本:何がそうさしたんでしょうね。

山下:何でなんでしょうね、これだと現代のいわゆるモダン・ジャズと呼ばれているものと同じだよね。

大谷:完全に同じですね。これ録音は53年で、もうパーカー晩年といっていい時期、あと二年ぐらいで死んでしまう時なんですけど、できたのは43年で、たぶん十年くらい前...

坂本:戦争中だよね。

大谷:戦争中だと思うんですが、やっぱりジャムセッション...

山下:と言われてますね。ミトン・ハウスとか。そこでみんながオレこそ新しいものだとか、新しいものを持ち寄っておどかすという。

坂本:競って、そういう、その、何ていうのかな、拡大させたのかな、その音楽の語法を。

山下:ある意味で知的なサロンだったのかもしれないですね。

大谷:ジャム・セッションという考え方が自体じつはジャズファン以外には分かりにくいのかもしれないですよね。まあ、ジャズミュージシャンはみなやることですけれども。

坂本:例えばジャズクラブとかダンスホールとかお店が終わったあとに、みんなで明け方までやってたってことですかね。

大谷:そうですね、基本的にパーカーが始めた時代はスイング・ミュージック全盛期だったので、ビック・バンドでダンス音楽、ポピュラー音楽を演奏して、その終わった後に夜三時とかぐらいから、終わった人が集まってきて、曲は同じなんだけれど、メロディーラインがこんなになってしまうと...

山下:なるほど、色々発明するんだ、うっぷん晴らしで。譜面しかできないので。

坂本:お仕事はね、譜面にそってね、やってるから。

山下:街のジャズクラブに暴れこむって昔よくPANJAスイング・オーケストラの時は全員それやってましたよ。譜面で縛られてたので、どの街行っても、打ち上げからライブハウスへなだれこんで暴れてました。

坂本:ちょっと気焔をあげて、なだれこむわけすね。

大谷:そこから新しい音楽を(笑)

山下:そこで、知らない者どうし、同じビックバンドのメンバーだけど知らない者どうしが初めてコンボ奏者として出会ってね、おもしろい、今度いっしょにやろうよ、なんてそんな話だってできますよね。起きてきましたからね実際。だから、そんなものだと例えてもいいのかな(笑)。

大谷:やっぱり、ずっと即興をやりたい、アドリブをやりたいっていう人が夜中に、とにかくどんどん出て、やはりソリストとバックという感じに構造がもうなってきていて、あと少数精鋭というか、リフなんかもつけないわけですよね、アレンジも無しで。いちばん軽い形で音楽をやるっていう方向にどんどんまとまっていくっていう。ほんと結晶化っていうか。

坂本:さっき聴いたカウント・ベーシーで非常に整備されていた伴奏部分をもう、取っちゃうっていう...

大谷:全部オレのソロみたいな。

坂本:簡略化したもので突き進んじゃうという。

山下:でもコードは複雑化するでしょう。いわゆるテンションの音がドンドン重なっていく。それで、そのメロディー・ラインも複雑化しますよね。経過音が平気で入ってきたり、クロマティック・アプローチがでてきたり、それから、コード音階っていってもただのアルペジオじゃなくて、色々なラインを作ってくるよね、あれがいま聴いてもカッコイイんだけど、あれをカッコイイねーってみんなで認めたセンスはすばらしいよね。

大谷:本当に不思議というか、すばらしいと思いますね。

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