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「ジャズとは何か」抜き書き04

スティーヴ・ライヒはアフリカ音楽

山下:だからまさにその新大陸でアフリカとヨーロッパが出会ったときが、もう都市の時代だったからこそよかったんだね。別の時代だったら生まれてないかもしれない。こないだ、たまたまテレビを見ていたんだけど、スティーヴ・ライヒ。あんなの完全にアフリカの音楽のパクリですね。(笑)

坂本:まさに。自分でも言ってるけどね。

山下:ドイツ・ユダヤ人がアフリカ音楽を構成しなおした時にあんなになるという、ちょっと恐るべき執着心だね。

坂本:アフリカ音楽を構成しなおし、しかもヨーロッパの楽器でやるということですよね。

山下:ある意味とてもジャズに似てはいるんだけども、即興性の問題でね、そこでちがうんだと思うんですが。

大谷:ぜんぜんちがうものになってますよね。

山下:あれだけ同じことをやって飽きないとすれば、アフリカのドライブ感ですよね。あれをうまく取り入れたっていうところはやはりすごい才能だと思う。

坂本:まあ、現代の音楽としてちゃんと成立しているから、それはそれですごい才能なんだけれども、まあ僕から見れば90%はアフリカ音楽ですよね。

山下:やっぱりそう思いましたか。そりゃあよかった。教授と意見がおなじで。(笑)

大谷:僕もそう思います。

山下:ああ、大谷さんとも一緒でよかった。

大谷:でも、それはすごい自分のユダヤ系アメリカ人の物語を語るためにそういう風なものを使っているというところがすごい頑固っていうか、強力なエゴっていう...

山下:強力だよね。

坂本:いってみれば無時間的なアフリカ的なシステムを非常に一神教的な終止に向かってっていうね、事実そういうユダヤ教的なテキストの上でやってる音楽もだいぶ多くなってきましたからね彼のばあいは。(*)

大谷:すごい取りこみ方だなと思うんですけどね。

坂本:全然ちがう方にわしづかみして(笑)。

山下:でもユダヤ人のジャズへの貢献っていうのもすごいんですよ、素晴らしい。ベニー・グッドマンをはじめとして、ほとんどがユダヤ人ですよね。

坂本:世界の民族音楽の研究をリードしているのもユダヤ人なんですよね。

(*)「ダニエル・ヴァリエーションズ」
2002年にパキスタンで取材中にテロリストに誘拐、殺害された米ウォールストリート・ジャーナル紙のユダヤ系アメリカ記者、ダニエル・パールの遺した言葉と旧約聖書のダニエル書をテキストにした2006年の作曲。東京オペラシティでの演奏はNHKでも放映された。

「ダニエル書」は中世ヨーロッパにおいて典礼劇のテキストとして好んでとりあげられた。ライヒはかなり意識的に中世音楽に接近したのではないかとおもう。失われたユダヤの響きをもとめて。

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