坂本龍一監修による音楽百科事典シリーズ「commmons schola」の新作が3月25日にリリースされます。今回のお題は「JAZZ」。そのブックレットに収録予定の座談会のようすがNHK-FMで放送されました。
「ジャズとは何か」という問いは、「音楽とは何か」という問いとおなじくらい難しいものです。もし自分が問われたら黙って立ちつくすしかありません。なぜなら、「ジャズはこれこれだ」と定義できてしまったら、逆にがっかりしそうだからです。「JAZZとは何か」よりも、こうあってほしいという想いのほうが勝ってしまうからです。
しかし、このテーマにあえて挑戦した3人の機智あふれたインタープレイは、そのものがじつにJAZZでありました。トリオでありました。3月のリリースを待ちきれず、またしても抜き書きしてしまいました。
ぼくはJAZZに無学ゆえ、聞き取りに誤りがあるかもしれませんから、識者の方は校閲をかねて読んでほしいとおもいます。
坂本龍一ニューイヤー・スペシャル「ジャズとは何か」
1月1日(木)FM 午後11:00〜午前1:00放送
パーソナリティー:坂本龍一
ゲスト:山下洋輔、大谷能生
坂本:ぼくが、ずっと以前から敬愛する、尊敬している、山下洋輔さんと、それから評論家で音楽家でもあります大谷能生さんのお二人をお迎えして、ジャズの歴史というか、「ジャズとは何か」ということを、かなり掘り下げて、長時間話したんですね。えーっと四時間くらい話したかなー。非常に面白い話ができてですね、今日は、そこから、その座談会を抜粋してお届けしたいと思うんです。
長年、十代のときからジャズとは何か、っていうのを知りたい知りたいと思って、ここまできてしまったんですけれども、ジャズ会のトップ、トップ中のトップの山下さんにいきなり切りこんで「ジャズは何か」ということをね、お聞きしたんで、ぼくはかなり納得したところがあります。
山下さんが聴いてきたジャズっていうのは、ジャズの歴史、そのものでもあるわけですけれども、それを個人的な体験から、それと大谷さんは非常に博識でジャズ史を、知識をもってですね、そういう音楽を聴いていらしてですね、とてもおもしろいものになったんですけれども。...
Africa meets Europa in America
坂本:ぼくはあまり、ジャズには詳しくないのでですね(笑)、本日は山下洋輔教授にですね、教えていただくということになります。どんどん疑問をぶつけていきますので、教えてください。
山下:坂本教授に問われちゃ、大変ですけどね。私もジャズのことはよく知らないんです(笑)。
坂本:すばらしい(笑)。じゃあジャズとは何でしょうか?(笑)
山下:最近ね、ぼくが考えているのは、ジャズっていうのは、アフリカとヨーロッパが、新大陸で出会った結果、生まれた文化のひとつで、その音楽文化としてすばらしいものが生まれたと。これは出会いというよりは、衝突ですね。クラッシュですよ。ものすごい悲劇的な、奴隷貿易という、アフリカ人をヨーロッパ人が新大陸に連れて来ちゃうという、エラいことの末に、この音楽ができたんです。そのインパクトがあるからね、世界中にひろがって、いまだに力のある表現力をたもちつづけていると。
つまり、民族音楽としてとらえてね、ある民族がつくりだした、その独特の美意識によってつくりだした音楽っていうのは、世界中にあるわけです。それから、ヨーロッパがアジアの民族と出会って、ヨーロッパ音楽の構造がその民族に受け入れられて、そこから新しいものが生まれるというのは、世界中で起きている現象です。ジャズをそうとらえることもできるんだけど、それにしては力がありすぎる。
坂本:うん、うん。
山下:たとえば日本でそういうことが起きたと。たとえば歌謡曲であったり、小学唱歌であったかもしれないが...
坂本:明治維新にね、そういうことが起きたわけですよね。
山下:それが世界中にこのようにして伝わっていくということはないわけです。
坂本:そこまでの発進力はなかった。
山下:それはまあ政治とか経済力とか(坂本:覇権とか)外国との力関係とか、っていうのもあるんだろうけれども、そのなかに内蔵している誕生のパワーが、アフリカとヨーロッパをかかえこんじゃってるわけで。
坂本:大陸と大陸のぶつかりあいですよね。しかもそれが巨大な新大陸で。
山下:新大陸というものがなければ、できなかったわけだから、そういう意味で、ここ現代百年を象徴する、もっとも力強い音楽だと、いうふうにまずぼくはジャズを考えることにしています。
坂本:アメリカで生まれたジャズというものを、ヨーロッパ人や、日本人である山下さんがやってると。これはジャズなんですかね。
山下:それは...ジャズでしょう(笑)。いろいろなとらえ方はあるんだよね。ぼくもアメリカで一人旅したときに、セントルイスで会ったうるさいレコード店主がいて、「おまえのことはよく知ってる」と。ニューヨークのニュー・ポートに出たときも、小山彰太と坂田明のもうぐじゃぐじゃのフリー・ジャズですよね。「おまえの音楽はすごい。でもジャズではない。なぜならブルーズをしらない」と、こうきました。そういう見方もあるんです。





こんにちは、樋口です。レスありがとうございます。それから、無理をしてまでレスは書かないで下さい。narajinさんがおっしゃるように、記事そのものがレスになっています。音楽は自分が最も好きなジャンルなのですから。
「なぜならブルーズをしらない」は感情移入のことだと思います。自分もJazzにはそんなイメージを持っています。