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本当はあなた、こうしたいんじゃないの?

--実際にはどうしたらいいのでしょう。

突破口は、とことん本質と向き合うことだと思う。そして本質をつかんだら、余計なものは徹底してそぎ落とす。難しいですけどね。(中略)

--アートディレクターの粋を仕事を大きく超えた仕事をしているように見えます。

私に仕事を頼む人は、問題をかかえているのです。例えば、持っている商品があって、モノはいいんだけど売れないとか。売れないのは、消費者とのコミュニケーションがうまくいってないからです。誤解を恐れずにいうと、ほとんどの問題は、コミュニケーション障害だといっても過言じゃない。

--その障害を除くのが、仕事だと。

僕にできるのは、デザインの力を使ってそれらを修復することなんです。

--今は、何を修復したいのですか。

医療ですね。

--それで、大阪の病院のデザインに取り組んでいる。

今、医療の現場ってうまくいってないでしょ。病院って、行きたくない場所じゃないですか。行きたくないから具合が悪くても我慢して、よけい悪くなっちゃったとか。それをデザインの力ですべて解決できるとは思わないけれど、できることもあると思うんですよ。今、お手伝いしている病院の先生は、心や体の疲れを癒しながら、リハビリできる病院がつくりたいそうなんです。

--癒し、ですか?

だから僕は聞いたんです。極端な話、リゾートホテルみたいな施設で医療をしたら、問題はありますかと。すると、問題ないとおっしゃる。なら「リハビリテーション・リゾート」をつくりましょうと、提案したんです。

--まるで、コンサルタントですね。

僕は、コミュニケーション・コンサルタントだと思っています。

--それこそ、アートディレクターの仕事であると。

ええ、単なる提案にとどまらず、最後に具体的な形、モノまでつくるところは普通のコンサルタントとは違います。そしてそれは、デザイナーにしかできないと思いますから。

--そんなにアウトプットを続けて、アイデアが枯れたり疲れたりしませんか。

その不安はまったくありませんね。僕の仕事は、相手から答えを引き出すことだから。

--相手から引き出す?

そうです。僕もそうでしたが、人間って、自分のやりたいこと、本当に思っていることほどなかなか分からないじゃないですか。企業もそうです。だから僕は、たくさん質問をして「本当はあなた、こうしたいんじゃないの?」ということをズバッとつかんで、鮮やかに解決したいんです。僕はむしろ、いろんな人と仕事をすればするほど、どんどん自分の中に知恵が入ってくる。そして、それが別の仕事で役立つんです。

「フロントランナー アートディレクター 佐藤可士和さん」
朝日新聞 2007年3月31日

このインタビューアーは、アートディレクションやデザインについて、まったく無知なのか、それとも読者のためにわざと無知なふりをしているのか。おそらく後者ではないかと思うが、佐藤可士和の話していることはいちいち驚くような内容ではなく、むしろデザインの王道そのものを語っているにすぎない。つまり、「デザイナー=問題解決屋」ということ。

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