スポーツや芸術の世界では、よく「1日練習しないと元に戻すのに三日かかる」といわれる。一日10分程度の練習であっても、やるかやらないかでその後大きな違いとなってあらわれてくる。
病気になって寝たきりの生活が続くと、下肢の筋力は1週目で20%、2週目で40%、3週目で60%も低下するといわれる。身体を使わないこと(廃用)によって、様々な精神的機能低下までも生じるといい、それら一連の症状を「廃用症候群」と言うそうである。
骨髄移植後の筋力低下はほんとうにひどい。ガッチリとした20代の若者であっても、ちょっとした段差でつまづいて転んだとか、待ちわびた外泊のときに、家族と近所の店に買い物にいっても、足がしんどくて楽しめなかった、という話をよく聞く。いま向かいにいる患者さんはもう退院が近いのだが、「退院後は人目など気にせず、両手にスキー用のスティックをついて歩くつもりだ」という。
とくに、移植後の肺炎は、医師や看護師から絶対安静を勧められるのと、患者側にしてみれば「自分は病気なんだからゴロゴロしていてもいいんだ」という安心感からか、尿器や車椅子に頼り切った寝たきりの生活が続く。そして筋力はみるみる衰えていく。自分の体重が1日1キロ単位で減っていくのを毎日見るのは恐怖である。
安静が逆に仇となって、心身機能、活動能力の低下をまねき、尿失禁、不眠、抑うつ、さらには沈下性肺炎(長く仰けの姿勢でいると血液が重力で鬱滞し、細菌などが繁殖しやすい条件になって発症)や誤嚥性肺炎(食物が咽頭および気管に入り込んで発症)、関節拘縮、骨粗鬆症などの合併症を引き起こすことになる。これら廃用症候群の症候を、疾患の症候と誤って医師が安静継続を指導し、より状況を悪くしてしまうこともある。やはり患者自身が「いま肺炎だから寝てるだけでいいのだ」という気持ちを断ち切り、なるべく早期から自主的にリハビリに取りかかるべきであろう。
私も肺炎になってすでに2ヶ月半が経とうとしている。3月5日よりステロイドを3週間大量投入してGVHDを抑制し、炎症で侵された肺細胞の回復をひたすら待つという治療方針でやってきたが、いっこうによくなる気配がない。まだ酸素吸入を続けている始末である。
やはりここは、自主的なリハビリによって心肺機能と全身の筋力を元にもどしていく必要があるのではないだろうか。この話を医師にしたところ苦笑いされた。効果ナシとふんでいるのだろう。内科医は基本的に投薬以外の治療法については専門外であり、そのようなアドバイスは期待できない。看護師もほぼ同様である。病棟内を散歩するだけで、「いま酸素飽和度が低いのだから、すぐベッドにもどって酸素吸入をやってほしい」とか「歩き方が老人だ」とかいわれる。
残念なことに、今日の医療現場において早期離床・生活活動性向上の必要性の認識、具体的プログラムの普及はいまだ不十分であり、むしろ運動すると看護師から注意されるケースのほうが多いように感じる。彼らの立場からすれば、勝手にリハビリして転倒したり、身体を痛めたりされると、それだけ自分の手間が増えることになるという管理上の問題がまず先に立つのだろう。
やはりリハビリテーション科のすすめている「回復期リハビリ」のメニューを利用できればするか、あるいは自分で考えるしかない。
1)一日5000歩
2)スクワット10回
3)猫背矯正
4)肺病巣部まわりの筋力アップ
5)ヨガ体操による筋萎縮の改善
6)ヨーガ呼吸法による肺機能の復活
これらを続ければ、酸素吸入と縁が切れるのかどうかなんて、まったくわからない。ただ運動すれば気分がよくなるのは確かだ。それだけでもいいではないか。それにもし快方に向かったならば、退院後の日常生活の質的向上にそのままつなげることができるし、肺炎予防にもなる。
いまはとにかく、体重の下げ止まり(現在46キロ)をしたい。
介護保険の情報
「廃用性症候群の各症状」および「寝たきりゼロへの十箇条」(厚生労働省)の紹介。家族の介護を考える上でも参考になる。





非常に共感できます。しかし1日5000歩は少々頑張りすぎでは・・・
なにはともあれADLの維持です。役にたつかわかりませんが一度見てみてください。
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