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電子図書館+個人出版という試み

ネット上で文学作品や論文、記事をフリーで閲覧できる場が増えている。ちょっと覗いてみただけでも、こんなにひっかかってくる。

青空文庫 Aozora Bunko

Project Gutenberg

Project Sugita Genpaku

電子図書館 書籍デジタル化委員会

アナキズム図書室

上記にあげたサイトのほとんどすべてのテキストは、htmlもしくはxhtmlファイル形式で公開されており、ブラウザでの閲覧を前提としている。そこで問題となるのは、「ブラウザ」は「リーダー」ではないということ。ダンテの『神曲』をブラウズする(ざっと見る)のは結構だが、「読む」という行為なくしてこの大著を味わい尽くすことは不可能であろう。

結局、読書するためには今までどおり書籍で購入してしまうのが一番手っ取り早いということになる。たしかに書籍は読みやすいし、編集・校正・校閲というプロセスによって錬成されているだけに、エディションとしてのクオリティも高いからなおさらだ。でもそれだと電子出版の意義はかぎりなく無意味なものでしかなくなってしまう。

じゃあ、PCや携帯端末のスクリーン上で「読む」ことができれば、上記の問題を解決できるだろうか。具体的にいうと、日本語はスクリーン上であろうがやはり縦組みで読みたい。VOYAGER| ボイジャーからリリースされている二つのビューワーソフトを試してみる。

azurのご案内
青空文庫を縦組みで快適に読むためのビューワー。xhtmlを解釈し、ルビや傍線も再現する。各種端末への書き出し機能がウリ。30日間の試用期間後は2100円のライセンス料を払わねばならない。

T-Time5.5登場!
azurと機能面ではほとんど同等。青空文庫も問題なく縦組み表示できる。こちらは無償提供されているが、iPodや携帯端末への書き出し機能を利用するには、ライセンスを購入する必要がある。

このほかに、青空文庫を読むためのフリーウェアもある。
BlueSkyReader
まだヴァージョンが浅いぶん、これから面白くなる可能性がある。

実際に試していただくとわかるが、これでかなり読みやすくなる。やはり縦組み表示というのは視覚効果として大きく、内容がスイスイ頭に入ってくるようになる。通常のWebページであっても、縦組みで読んでみると長文でも短時間で読めることに気づくはずだ。

これらのソフトを利用すれば、読みやすくなることは間違いない。しかし、やはり印刷物との差はいかんともしがたい。画面を長時間見ていれば眼精疲労するのは当たり前だし、書籍の携帯性、閲覧性など優位性はいくらでもあげることができる。

結局のところ、ダウンロードしたテキストをプリントアウトして読むのがいちばん簡単で、いちばん読みやすい。PDFというフォーマットはその点、かなりいい線をいっていると思う。たとえば『白水社の本棚』というタブロイド判のPDFをプリントアウトしてみればすぐわかる。プリンターでA4紙に縮小印刷したとしても、画面で読むよりよっぽど読みやすい。

だがここでも問題が残る。PDFで提供されたデータは編集ができない。生のテキストデータにさわれない。Acrobatの編集機能をうまく使いこなしたとしても、できることは限定されるし、面倒くさい。電子図書館が読みやすさを考慮してレイアウト情報付きのPDFでデータを提供したとすると、編集性と加工性という面を犠牲にすることになる。ワンソース・マルチユースという法則は死守するべきだ。

いろいろ考えてみると、結局のところ、自分で電子データを落として、好きなようにレイアウトして、プリントアウトして、製本すればいいんじゃないかというごく当たり前の結論にいきつく。あとはいかに簡単にできるか。これさえ解決すれば、iPod nanoの小さい窓でチマチマ読むなどという窮屈きわまりない思いをしなくてすむ。

必要なのは、レイアウトソフト、面付けソフト、両面印刷可能なプリンタ。自分で面付けしてコンビニでコピーするのもいいけど、おそらく面倒になって続かない。

問題は、上記をそろえるのにお金がかかるということ。何十万もの出費が必要となれば、やはり書籍を購入したほうがいい。また最初の問題に逆戻りしてしまう。

テキストデータを放りこみ、文字サイズ、行間、版面などを設定するだけで簡単に本文のレウアウトができる個人出版向けのオールインワン型プリンタがあれば、われわれの読書生活だけでなく、フリーペーパーやミニコミ、Zineといった表現活動もより盛んになるだろう。別に商業出版並のクオリティなどいらないし、それを求めるなら本を買えばいいのである。

ブルースター・カール氏のプロジェクトを見てると何かやりたくなって身体が疼く。

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