Oさんの登場は強烈だった。
彼は横になって目をつむったまま、ベッドごと看護師さんに運ばれてきたので、誰もが「また寝たきりの患者さんでねが? ただでねぇなぁ(大変だなあ)」と同情を寄せていた。ところがOさんは、しばらくしてムクっと体をおこすと、挨拶もなしにスタスタとトイレに行ってしまった。
「いったい何なんだ。歩けるなら自分の足で来いよ」と内心みな思ったにちがいない。しかし、Oさんはそれから朝も昼も夜もひたすら寝続けたのである!
よっぽどどこか悪いのかな、とも考えたが、検査のすえに「異常なし」との診断がくだり、たった2週間ほどであえなく退院してしまった。
だからOさんの発したことばというのは、メシを食ってからまたすぐ寝るときの「ヨイショのドッコイショ」と、看護師さんにたいする「どうも どうも」しか記憶にない。そして轟音のようなイビキ。
やはりOさんは、寝たきりのヒトでした。
WBC: 400(好中球:1.0%)
HGB: 7.4
PLT: 28000





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